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ある朝、私は手のひらの上の薬を、じっと見つめていました。

一日に飲む薬は、およそ25錠。
これまで試してきた薬は、30種類ほどになります。

それでも、体調が思うように良くなることはありませんでした。

突然ですが、あなたは「AI」と聞いて、どんなイメージを持ちますか?

都会の大企業。 IT企業。 若い人たちが使う、新しい道具。

どこか遠い世界の話——そう感じている方も、まだ少なくないと思います。

でも私は、AIはむしろ地方の中小企業にこそ必要なものだと思っています。

そして私が尾道でAIを広げたい理由は、「AIが流行っているから」ではありません。 冒頭の薬の話と、実は深くつながっているのです。

AIそのものではなく、「AIを使った働き方」に出会った

正確に言えば、私は「AIに出会った」というより、「AIを使ってコンサルティングができる働き方」に出会ったのだと思っています。

私は長く体調の問題を抱えてきました。

外からは健康そうに見えるためか、つらさを理解してもらえないこともありました。 「普通に働ける人」だと見られてしまう。 その誤解の中で、一般的な働き方に自分を合わせることの難しさを、長い間感じてきました。

毎日決まった時間に、体調に関係なく同じ場所で働き続ける——多くの人にとって当たり前のその働き方が、私にはとても難しいものでした。

けれども、何もしたくなかったわけではありません。

人の役に立ちたい。 自分の知識や経験を、誰かの仕事に生かしたい。 できることなら、この町で働く人たちの力になりたい。

その思いは、ずっと消えませんでした。

そんな中で見えてきたのが、AIを使った仕事の仕方でした。

AIを使えば、一人でも多くの資料を調べられます。 文章を整理できます。 業務の流れを見直し、どこを効率化できるかを考え、それを中小企業の方にわかりやすく伝えることもできます。

もちろん、AIは何でもしてくれる魔法ではありません。 最後に考えるのは人間ですし、責任を持って判断するのも人間です。

けれどもAIは、体調に合わせながら、無理なく人の役に立つ仕事をするための、大きな助けになってくれました。

私にとってAIとの出会いは、単なる便利なツールとの出会いではなく、「自分の置かれた条件の中で、どうすれば社会とつながり、人の役に立てるのか」——その道を開いてくれた出会いだったのです。

実は私、AIに冷めています

ここまで読むと、私がAIに心酔しているように見えるかもしれません。

ところが実は、私はAIに対して、どこか冷めた見方も持っています。

以前、ある大手通販サイトで買い物をしたときのことです。

大きな段ボール箱から出てきた小さなワイヤレスイヤホンの箱を、困惑した表情で見つめる男性

小さなBluetoothイヤホンの箱が、とても大きな段ボール箱に入って届きました。私はそのことをSNSで発信しました。

すると、思いがけない反応が集まったのです。

「その通販サイトは梱包資材の決定にAIを使っている」 「そんなことも知らないのか」

私はその書き込みを見て、少し残念な気持ちになりました。

もしAIが梱包の判断に使われていたとしても、それは「AIが正しい判断をした」という意味にはならないからです。

AIにはハルシネーションといって、もっともらしく見えても間違った答えを出すことがあります。(AIの誤回答とどう向き合うかは、「ファクトチェック」の終焉と、情報主権の奪還で詳しくお話ししています)

それなのに「AIが使われているのだから正しいはずだ」と考えてしまうとすれば、それは新しい信仰のようなものではないでしょうか。

心理学の世界には、「オートメーション・バイアス」という言葉があるそうです。機械が出した答えだからというだけで、無条件に信じてしまう心の傾向のことだといいます。

私たちは、思っている以上にこの罠にかかりやすいのかもしれません。

私はAIを広めたいと思っています。 でも、AIを信仰したいわけではありません。

私はAIを、それこそ薬のようなものだと思っています。

症状に合う薬ならよく効きます。 効いたときの力には、驚かされます。
でも万能ではなく、合う・合わないがあり、使い方を間違えれば逆効果にもなる。

だから、効能書きをうのみにせず、様子を確かめながら使う。

30種類の薬を試してきた私が言うのですから、ここは信じてください(笑)

この当たり前の感覚を忘れたままAIを導入すると、便利になるどころか、かえって現場を混乱させてしまうかもしれません。

しかし、このAIに冷めた目を持っている私は、いずれこのAIは社会のインフラになると思っています。

薬にも、用法用量というものがあります。

飲み始めは、様子を見ながら少しずつ量を確かめる。
体に合うとわかれば、生活の一部として当たり前に取り入れる。
逆に、効くからといって自己判断で量を増やせば、副作用が出ます。

AIも、これとよく似ています。

いきなり会社のすべてを任せれば、副作用のように混乱が起きます。
かといって「よくわからないから」と飲まず嫌いを続ければ、本来治せたはずの不調を、放置し続けることになる。

薬には、もうひとつ厄介な性質があります。「飲み合わせ」です。
一つひとつは安全な薬でも、組み合わせ方を間違えると、思わぬ不調が出ることがあります。

AIも同じで、便利なツールを次々つなげていくと、それぞれは正しく動いていても、全体としてはどこかで情報が食い違う、という「飲み合わせ」の失敗が起こり得ます。

新しいものと付き合うコツは、怖がって遠ざけることでも、盲目的に量を増やすことでもなく、「自分に合う用法用量と、正しい組み合わせを見つけること」 なんです。

だから私は、AIを社会のインフラにしていく過程で、早いうちから関わっていきたいと思っています。

冷めているからこそ、現場で使えるAIを提案できる

「AIに冷めているのに、そこまでAIを広げたいの?」

矛盾しているように見えますよね。 でも私は、むしろ逆だと思っています。

  • 過信していないから、過度な期待を持たせずに提案できる
  • 間違えることを知っているから、確認の仕組みを入れられる
  • 限界を知っているから、できる範囲で最大限に役立つ使い方を考えられる

たとえば、AIに会社のすべてを任せる必要はありません。

社内資料を探しやすくする。
過去の問い合わせを見つけやすくする。
報告書の下書きを作る。議事録を整理する。
社長やベテランに何度も聞いていたことを、社員が自分で確認できるようにする。

そんな小さな使い方からで十分です。(何から始めればいいかは、AI導入で失敗しないための最初の一歩とは?でもお話ししています)

地方の中小企業に本当に必要なのは、大きくて派手なシステムより、毎日の仕事を少し楽にしてくれるAIではないでしょうか。

尾道にある良さを、AIで引き出したい

尾道の小さな商店の事務所で、紙の資料や帳簿に囲まれながら社員の質問に答えるベテラン経営者

私は、尾道の会社やお店には、すでにたくさんの良さがあると思っています。

  • 長年、地域のお客様と向き合ってきた信頼
  • 小さな会社だからこそできる、きめ細かな対応
  • 職人さんやベテラン社員が積み重ねてきた経験
  • 家族や少人数で支え合いながら仕事を続けてきた粘り強さ

どれも、都市部の大きな会社には簡単に真似できない、尾道らしい力です。

社長の頭の中にしかない判断基準。
ベテラン社員だけが知っている過去の対応。
紙の資料やExcelの中に散らばった大切な情報。
何度も同じことを聞かれ、そのたびに手を止めて答えている時間。

本当は会社の財産であるはずの知識や経験が、整理されないまま埋もれている。

私は、そこにAIの出番があると思っています。

AIの役目は、尾道の会社らしさを消すことではなく、その会社が持っている良さを見つけやすくし、使いやすくし、次の人へ渡しやすくすること。

だからこそ、顔の見える距離で、その会社の事情を聞きながら、一緒に考えたいのです。

何に困っているのか。
どこに時間がかかっているのか。
誰に仕事が集中しているのか。
どの情報が整理されていないのか。

一つずつ見ながら、その会社に合ったAIの使い方を探していく。

尾道を別の町に変えるのではなく、尾道にすでにある良さを引き出す。 それが、私がこの尾道でやりたいAI活用です。

終わりに

尾道の坂の上から瀬戸内海と町並みを望む場所で、穏やかに微笑んで立つ男性

私は、まさか自分が何でもできる人間だとは思っていません。 体調の波もありますし、できる働き方にも制限があるような人間です。

でも、だからこそ見えるものがあります。

無理をしすぎない働き方。
人を追い詰めない効率化。
できないことを責めるのではなく、できる形を一緒に探す姿勢。

AIは、人間を置き去りにするための道具ではないはずです。
人が人らしく働くために、余計な負担を減らしてくれる道具であってほしい。

都会でなくてもいい。
大企業でなくてもいい。
立派なIT部門がなくてもいい。

この町で昔から仕事を続けてきた人たちが、自分たちの力を失わずに、時代の変化に対応していけるように。
そして私自身も、置かれた場所で咲いていけるように。

その思いを持って、私はこの尾道でAIを広げていきます。

あなたの会社にも、まだ気づかれていない財産が、きっと眠っています。 それを見つけたとき、あなたの会社はもっと自分たちらしく輝けるに違いありません。

あ、ひとつ言い忘れていました。
緊急事態のときは、すぐに飛んでいきますので、ご安心ください(笑)

顔の見える距離にいるというのは、そういうことですから。

尾道・福山の中小企業向けの具体的な支援内容と進め方は、製造業向けAI導入支援のページにまとめています。


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